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1.

論文(リポジトリ)

論文(リポジトリ)
任海, 学
出版情報: 新潟医学会雑誌 — 新潟医学会雑誌.  118  pp.340-346,  2004-07.  新潟医学会
本文リンク: http://hdl.handle.net/10191/2957
概要: プレパルスインヒビション(prepulse inhibition; PPI)は,ヒトやラットなど動物種を超えて簡便におこなうことが出来る知覚フィルター機能の測定法である.PPIは統合失調症患者や関連する精神疾患において低下することが広く知ら れている.上皮成長因子(epidermal growth factor; EGF)を幼少期に末梢慢性投与したラットは,成熟後にPPIの低下など統合失調症に類似した様々な認知行動異常を引き起こす.そこで本研究では非定型抗精神病薬のクロザピン,リスペリドンに加えて,抗精神病薬として開発が進んでいる2型シクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase-2; COX-2)阻害薬であるセレコキシブ(celecoxib)と,カンナビノイド受容体CB1のアンタゴニストであるAM251を成熟後の幼少期EGF投与ラットに慢性投与し,EGF誘発性PPI異常に対する改善効果の評価をおこなった.その結果,非定型抗精神病薬であるクロザピンおよびリスペリドンは,PPI異常を改善することが判明した.この実験結果は,統合失調症患者の知覚フィルター異常に対して非定型抗精神病薬が改善効果を有するという臨床的知見と整合性がある.一方,セレコキシブとAM251の慢性投与では,幼少期EGF投与ラットのPPI異常に対する改善効果は認められなかった.このことからプロスタグランジンシグナルやカンナビノイド系は,幼少期EGF投与ラットのPPI異常に関与していないことが示唆された.以上の結果から幼少期EGF投与ラットは,統合失調症に対する治療薬の開発に利用できる有用な動物モデルとなりうることが示された. 続きを見る
2.

論文(リポジトリ)

論文(リポジトリ)
青木, 弘行
出版情報: 新潟医学会雑誌 — 新潟医学会雑誌.  122  pp.262-270,  2008-05.  新潟医学会
本文リンク: http://hdl.handle.net/10191/19539
概要: 統合失調症発症の仮説の一つに妊娠母体のウイルス感染などの周産期障害が原因とする説がある.実際,妊娠実験動物でのインフルエンザの感染は,母体に炎症を誘発し流産を起こすと共に,かろうじて生存した産仔も様々な認知行動異常を呈する.本研究では,この 母体ウイルス感染の結果がゲノムRNA投与により再現できるか,関与している炎症性サイトカインはどんなものかという疑問を検討した.マウス妊娠中後期に,2本鎖RNAを尻尾静脈投与する,もしくはウイルス感染により誘導される炎症性サイトカイン(インターフェロンα,インターロイキン-1α,-2,-6)を腹腔投与した.その母体から産まれてきたマウスを成長させ,新奇探索運動量,音驚愕反応,プレパルスインヒビションの行動指標を測定した.結果,マウス仔の行動異常は,ウイルスゲノム成分である2本鎖RNAの投与で再現され,また,インターロイキン-2投与も同様に運動量上昇とプレパルスインヒビション障害を誘発した.これらの実験結果は,妊娠母体インフルエンザ感染に誘発される産仔の認知行動異常には,自然免疫を介したサイトカイン誘導といった母体内の免疫炎症反応が関与していることを示している. 続きを見る