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1.

論文(リポジトリ)

論文(リポジトリ)
渡邉, 佳緒里
出版情報: 新潟医学会雑誌 = 新潟医学会雑誌.  131  pp.290-302,  2017-05.  新潟医学会
本文リンク: http://hdl.handle.net/10191/49548
概要: 【背景】UCの非腫瘍大腸粘膜や大腸癌, 前癌病変であるdysplasiaでは, 胃型粘液(腺窩上皮型と幽門腺型)の発現があり, 慢性持続性炎症により胃型細胞へ分化形質変化を来した大腸粘膜が癌の発生母地である可能性が示唆されている. 本研究で は, 大腸癌を合併するUC(担癌UC)と合併しないUC(非担癌UC)の非腫瘍大腸粘膜を対象として, それらの胃型粘液発現を免疫組織学的に検索し, UC大腸上皮の胃型細胞への粘液形質変化やそのパターンが, 大腸癌発生の高リスク群を予測するためのマーカーとなりうるかどうか, について検討した. 【対象と方法】担癌UC群14例, 非担癌UC群104例, 炎症性腸疾患を合併しない大腸癌の非癌部大腸(非IBD群)38例の非腫瘍粘膜を対象として, MUC2(腸杯細胞粘液マーカー), MUC5AC・HGM(胃腺窩上皮粘液マーカー), MUC6・M-GGMC-1(胃幽門腺粘液マーカー)に対する免疫染色を行い, 胃型粘液の発現頻度, 同発現細胞の陰窩内分布様式, を検討した. 【結果】腺窩上皮型粘液発現は, 非担癌UC群の90.4%, 担癌UC群の100%に, 幽門腺型粘液発現は, 非担癌UC群の42.3%, 担癌UC群の78.6%に認められた. いずれの発現率も, 非IBD群に比べ有意に高かった(P<0.05). UC罹患年数10年未満の症例では, 腺窩上皮型・幽門腺型いずれの粘液発現率も, 担癌UC群が非担癌UC群に比べ有意に高かった(P<0.05, P<0.01). UC罹患年数10年以上の症例では, 担癌UC群, 非担癌UC群で胃型粘液発現頻度に有意差はなかった. UC群の腺窩上皮型粘液発現細胞は, 胃幽門腺粘膜や非IBD群と同様に陰窩中層~表層にかけて分布するものと陰窩全長にわたって分布するもの(aberrantパターン)とがあった. 幽門腺型粘液を発現する細胞も, 幽門腺粘膜と同様に陰窩中層~底部に分布するものと陰窩のほぼ全長にわたって分布するもの(aberrantパターン)とが認められた. UC罹患年数10年未満の症例では, 胃型粘液を発現する陰窩に占めるaberrantパターンの割合は, 腺窩上皮型で非担癌UC群の18.2%, 担癌UC群の100%, 幽門腺型で非担癌UC群の17.6%, 担癌UC群の80.0%であった. いずれも担癌UC群が非担癌UC群に比べ有意に高かった(P<0.01). UC罹患年数が10年以上の症例で, 胃型粘液を発現する陰窩に占めるaberrantパターンの割合は, 腺窩上皮型で非担癌UC群の23.5%, 担癌UC群の88.9%, 幽門腺型で非担癌UC群の0%, 担癌UC群の33.3%であった. 腺窩上皮型粘液では, 担癌UC群が非担癌UC群に比べ有意に高かった(P<0.01)が, 幽門腺型粘液では両群間に有意差はなかった. 【結論】UC大腸粘膜では, 胃型(腺窩上皮型および幽門腺型)粘液発現細胞への形質転換が起きている. UC罹患年数10年未満の症例では, 胃型粘液の発現および発現細胞が陰窩のほぼ全長にわたって存在するaberrantパターン陰窩の存在が, 罹患年数10年以上の症例では腺窩上皮型粘液発現がaberrantパターンを示す陰窩の存在が, UCの大腸癌発生高リスク群を予測するためのマーカーになりうる可能性があると考えられた. 続きを見る
2.

論文(リポジトリ)

論文(リポジトリ)
小川, 洋 ; 若井, 俊文
出版情報: 新潟医学会雑誌 = 新潟医学会雑誌.  129  pp.59-70,  2015-02.  新潟医学会
本文リンク: http://hdl.handle.net/10191/44022
概要: 【緒言】膵癌の上皮内癌から浸潤性膵管癌への進行過程において, ムチン免疫組織化学およびCD10を用いた粘液形質の解析を行った報告はほとんどない. 本研究の目的は, 外科切除された浸潤性膵管癌を対象として, 膵癌の進行過程における粘液形質変化 を解明することである. 【方法】上皮内癌部を含む浸潤性膵管癌41例を対象とし, MUC1, MUC2, HGM, MUC5AC, MUC6, M-GGMC-1, CD10, CDX2の免疫組織化学を行い, 上皮内癌部と浸潤癌部における粘液形質を比較し, 癌の進行過程での粘液形質変化を検討した. 【結果】膵癌症例においてMUC1および胃腺窩上皮型のHGM, MUC5ACは, 各々100%, 93%, 81%と高頻度に発現しており, 上皮内癌部では95%, 95%, 81%, 浸潤癌部では98%, 88%, 68%であり, どちらも高頻度に発現していた. 一方, CD10やMUC2は浸潤癌部, 上皮内癌部をとも低頻度であった. M-GGMC-1, MUC6は, 各々18%, 17%に発現し, 上皮内癌部では各々41%, 34%に発現していたのに対し, 浸潤癌部では各々6%, 7%と低頻度であった. 粘液形質により分類すると, 上皮内癌部においては, 胃腺窩上皮幽門腺型(FG型)が20例と最も多く見られ, そのうち14例は浸潤癌部で胃腺窩上皮型(F型)を示した. また, 上皮内癌部において胃腺窩上皮型(F型)は15例に見られ, 浸潤癌部も14例は同じ粘液形質であった. 浸潤癌部では, 胃腺窩上皮腸型(F-I型), 膵胃腺窩上皮型(P-F型)はそれぞれ1例ずつであった. 上皮内癌部, 浸潤癌部ともに純粋な膵型(P型)は認めなかった. 【考察】膵癌の進行過程における粘液形質変化の判定には上皮内癌部と浸潤癌部の正確な診断と, 正しい免疫組織化学の結果判定が重要である. 本研究では, 上皮内癌部と浸潤癌部の区別ためにVictoria blue染色を参考として用いた. また, 粘液の糖鎖付加状態に対する免疫組織化学の反応の違いから, HGMおよびM-GGMC-1に対する抗体を用いた. CD10の発現は上皮内癌部で5例(12.2%), 浸潤癌部で1例(2.4%)と発育進展によって発現頻度が低くなる傾向があったが, 統計学的な有意差は認めなかった. 浸潤性膵癌においては純粋な膵型が存在しないことは, 膵癌の進行過程において細胞分化が低下するという考えに矛盾しないと考えられた. 膵癌の進行過程において, 胃幽門腺型粘液のM-GGMC-1およびMUC6の発現が上皮内癌部から浸潤癌部になるにつれ有意に低下していた. 先行研究においても, このようなMUC6の発現減少は見られ, 癌化過程におけるMUC6発現減衰の原因に興味が持たれる. 【結語】膵癌の進行過程における粘液形質変化の解析から, 膵癌における上皮内癌部の粘液形質は胃腺窩上皮幽門腺型(FG型)あるいは胃幽門腺型(G型)が主体であり, 浸潤癌部では胃腺窩上皮型(F型)に粘液形質変化し, 胃幽門腺型(G型)や膵型(P型), 腸型(I型)の発現頻度は低くなる. 続きを見る
3.

論文(リポジトリ)

論文(リポジトリ)
Tun, Aye Pa Pa
出版情報: 新潟医学会雑誌.  133  pp.253-265,  2019-06.  新潟医学会
本文リンク: http://hdl.handle.net/10191/00051862
概要: 外科切除原発性小腸腺癌(以下小腸癌)60症例60病変を対象に,その臨床病理学的特徴と,免疫組織学的検索によるCK7,CK20発現,粘液形質について検討した.小腸癌の発生部位は,十二指腸32例(53.4%),空腸17例(28.3%),回腸11 例(18.3%)であった.臨床病理学的特徴は発生部位による差はなく,小腸癌全体では大腸癌との間にも差はみられず,小腸癌は大腸癌とほぼ同質の生物学的悪性度示す癌と考えられた.CK7の発現は小腸癌全体で45.0%,CK20の発現は61.7%であり,大腸癌全体と比較して有意にCK7発現頻度が高く,CK20発現頻度が低かった.CK7とCK20の発現を組み合わせた発現パターンには多様性があり,大腸癌の大部分を占めるCK7(-)/CK20(+)のパターンは小腸癌全体では41.7%に過ぎず,他のパターンが13.3~25.0%を占めた. こうした小腸癌のCK7,CK20発現パターンの多様性は癌の発生部位に起因する可能性があり,十二指腸癌・空腸癌で回腸癌に比べCK7の発現頻度が高くCK20の発現頻度が低い傾向があった.粘液形質では,小腸癌全体では大腸癌全体に比べ,MUC5AC,MUC6の発現頻度が有意に高く(43.3% vs.16.0%,23.3% vs. 9.3%),MUC2,CD10の発現頻度が有意に低かった(43.3% vs. 61.3%,13.3% vs. 37.3%).粘液形質別の頻度では,小腸癌の30.0%が冑型,16.7%が胃腸混合型,6.7%が小腸型,28.3%が大腸型であった.すなわち,小腸癌では発生母組織である小腸粘膜上皮の細胞系列が維持されているものは極めて少なく(小腸型の6.7%),半数近く(胃型の30.0%と胃腸混合型の16.7%)では胃粘膜上皮細胞への細胞系列転換が起きていることが想定された大腸癌との比較では,小腸癌は大腸癌全体に比べ,胃型の頻度が有意に高く(30.0% vs. 2.7%),小腸型の頻度が有意に低かった(6.7% vs. 32.0%). こうした小腸癌の粘液形質の特徴はCK7,CK20発現と同様に癌の発生部位により異なり,十二指腸癌・空腸癌では回腸癌に比べ胃型の発現頻度が高い傾向があった.これらの免疫組織学的検索から,小腸癌のCK7,CK20発現の多様性や胃型粘液形質発現は十二指腸癌・空腸癌の特徴的所見であり,十二指腸癌・空腸癌は回腸癌とは組織発生や発癌メカニズムが異なる可能性が示唆された. 続きを見る