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1.

論文(リポジトリ)

論文(リポジトリ)
岡, 宏充
出版情報: 新潟医学会雑誌 = 新潟医学会雑誌.  124  pp.276-286,  2010-05.  新潟医学会
本文リンク: http://hdl.handle.net/10191/28740
概要: 近年, 大腸上皮性良性増殖性病変の中で, 腫瘍化のポテンシャルはないと考えられてきた過形成性ポリープ (hyperplastic polyp) (HP) の病理診断や生物学的性格についての再検討がなされるようになってきた. 従来の病理診断で はHPとされる病変の中で, 腺管構造や細胞増殖動態の異常を伴うものは, sessile serrated adenoma (SSA) と呼ばれ, HPからは独立した病変単位として認識されている. これまでの分子病理学的研究から, SSAはMSI大腸癌の前駆病変として注目されている. 本研究では, 内視鏡的摘除大腸早期癌820例を対象に, SSAを発生母地とする大腸癌の頻度と臨床病理学的特徴, および癌化例SSAの粘液形質, p53蛋白過剰発現, ミスマッチ修復遺伝子関連蛋白発現, を検討した. SSA併存早期癌の頻度は13/820 (1.6%) であったが, 発生部位により違いがあり, 右側大腸では10/253 (4.0%), 左側大腸では3/567 (0.5%) であった. SSA併存癌は他の早期癌に比べ右側大腸に好発し, 腺腫併存癌に比べ表面型または表面型複合型の頻度が高かった. 表面型病変は隆起型に比べ内視鏡的発見が必ずしも容易ではなく, SSA併存癌の頻度は過小評価されている可能性がある. 癌化例SSAはSSA部, 癌部ともに全例で胃型粘液形質を発現していた (MUC5ACもしくはMUC6が陽性). p53蛋白過剰発現とミスマッチ修復遺伝子関連蛋白 (hMLH1, hMSH2) の発現消失は癌部のみにみられ, それぞれ7/13 (53.8%) と4/13 (30,8%) の頻度であった. SSA併存癌部の免疫染色結果は発生部位により違いがあった. 右側大腸病変ではMUC6発現 (90%) とミスマッチ修復遺伝子関連蛋白の発現消失 (40%) を特徴としていたのに対し, 左側大腸病変ではMUC6発現やミスマッチ修復遺伝子関連蛋白の発現消失を示したものはなく, p53蛋白過剰発現を全例に認めた. 以上のことから, SSAを発生母地とする大腸癌の割合は低いものの, 右側大腸では少なくとも4%を占めることから, 右側大腸発生のSSAに対しては内視鏡的摘除も治療選択肢として考慮すべきと考えられた. SSAの癌化経路の背景分子メカニズムは一様ではなく, 発生部位により異なる可能性が示唆された. 続きを見る
2.

学位論文(リポジトリ)

学位
河久, 順志
出版情報: 2016-09-20.  新潟大学
本文リンク: http://hdl.handle.net/10191/45091
概要: SSA/P(sessileserratedadenoma/polyp)は鋸歯状管腔構造を特徴とする大腸の上皮性増殖性病変のひとつであり、MSI-H(microsatelliteinstability-high:マイクロサテライト不安定)大腸 癌の前駆病変として位置づけられるようになってきた(serrated neoplasia pathway:SNP)。しかし、SNPはSSA/PとMSI-H大腸癌の分子病理学的プロファイルの類似性からの推定であり、実際のSSA/P癌化例の病理学的側面から裏付けは十分に得られてない。本研究では、外科切除および内視鏡的切除大腸pTis(M)癌 2,613例と粘膜内部癌が残存したpT1(SM)癌 559例を対象として、早期大腸癌に占めるSSA/P由来癌の頻度、臨床病理学的および病理組織学的特徴、粘液形質発現についての総合的解析を行った。SSA/P由来癌はpTis(M)癌の1.2%、pT1 (SM)癌の2.0%を占めたが、右側結腸ではそれぞれ3.2%、4.4%を占めた。SSA/P由来早期大腸癌は表面型の頻度が高く(pTis(M)癌で61.3%、pT1(SM)癌で54.5%)、内視鏡的発見が困難な病変が存在する可能性があり、SSA/P由来癌の割合は過小評価されていることが想定される。右側結腸では、SSA/Pに由来する癌が少なくとも5%以上は占めることが推察された。SSA/P由来大腸癌では、鋸歯状構造、筋状・融合腺管.小型腺管、小型円形核、低異型度癌、粘液癌、脱分化(癌の低分化化)などの7つの特徴的組織所見を示すとされているが、本研究対象の粘膜内癌部では、鋸歯状構造(68.3%)や飾状・融合腺管(61.0%)、低異型度癌(75.6%)の出現頻度が高く、SM浸潤部では飾状・融合腺管(54.6%)は保たれているものの、鋸歯状構造や低異型度癌の頻度は低く、粘液癌(36.4%)や癌の脱分化(低分化化) (25.5%)がみられた。これらのことから、癌の発育進展の観点からは、SSA/Pに由来する大腸癌は、粘膜内では中分化型と超高分化型の両者の性格が共存し、SM浸潤に伴い急激に脱分化し、粘液癌に移行する傾向があることが推定された。また、粘膜内癌部、SM浸潤部ともに70%以上で、上記7つの組織所見の2つ以上が認められた。粘液形質発現では、癌に併存するSSA/Pでは、MUc2(100%)、MUC5AC(100%)、MUC6(83.3%)が高発現していたが、癌化病巣でもそれらの粘液形質プロファイルは保持されており、粘膜内癌部、SM浸潤部ともにMUC2はほぼ全例(90.9%~97.6%)に発現し、MUC5ACも70%以上、MUC6も50%前後以上で発現がみられた。これらSSA/P癌化例の粘液形質プロファイルは粘液癌進行大腸癌のそれと類似しており、SSA/Pに由来する癌は粘液癌進行大腸癌へと進展することが推定された。本研究結果から得られたSSA/P由来癌に特徴的な組織所見と粘液形質発現の観点から、由来不明な粘膜内部脱落pT1(SM)癌、進行癌、そしてpT1(SM)純粋癌の解析を行うことが今後の課題であり、その結果によっては大腸癌に占めるSSA/P由来癌の割合は、本研究結果の5%以上を更に上回る可能性も想定され、大腸癌の組織発生におけるSNPの役割もより明確になるものと考えられた。<br />学位の種類: 博士(医学). 報告番号: 甲第4205号. 学位記番号: 新大院博(医)甲第704号. 学位授与年月日: 平成28年9月20日<br />新大院博(医)甲第704号 続きを見る
3.

論文(リポジトリ)

論文(リポジトリ)
河久, 順志
出版情報: 新潟医学会雑誌 = NIIGATA MEDICAL JOUNAL.  132  pp.293-305,  2018-09.  新潟医学会
本文リンク: http://hdl.handle.net/10191/00051550
概要: SSA/P (sessile serrated adenoma/polyp)は鋸歯状管腔構造を特徴とする大腸の上皮性増殖性病変のひとつであり, MSI-H(microsatellite instability-high: マイクロサテライト 不安定)大腸癌の前駆病変として位置づけられるようになってきた(serrated neoplasia pathway :SNP ). しかし,SNPはSSA/PとMSI-H大腸癌の分子病理学的プロファイルの類似性からの推定であり,実際のSSA/P癌化例の病理学的側面からの裏付けは十分に得られてない.本研究では,外科切除および内視鏡的切除大腸pTis(M) 癌2,613例と粘膜内病変が残存したpTl(SM)癌559例を対象として,早期大腸癌に占めるSSA/P由来癌の頻度,臨床病理学的および病理組織学的特徴,粘液形質発現についての総合的解析を行った. SSA/P由来癌はpTis(M)癌の1.2%, pTl(SM)癌の2.0%を占めたが,右側結腸ではそれぞれ3.2%, 4.4%を占めた. SSA/P由来早期大腸癌は表面型の頻度が高く(pTis (M)癌で61.3%, pTl(SM)癌で5 4.5%), 内視鏡的発見が困難な病変が存在する可能性があり,SSA/P由来癌の割合は過小評価されていることが想定される.右側結腸では,SSA/Pに由来する癌が少なくとも5%以上は占めることが推察された. SSA/P由来大腸癌では,鋸歯状構造,師状・融合腺管,小型腺管,小型円形核,低異型度癌,粘液癌,脱分化(癌の低分化化)などの7つの特徴的組織所見を示すとされているが,本研究対象の粘膜内癌部では,鋸歯状構造(68.3%)や飾状・融合腺管(61.0%), 低異型度癌(75.6%)の出現頻度が高く,SM浸潤部では師状・融合腺管(5 4.6%)は保たれているものの,鋸閑状構造や低異型度癌の頻度は低く,粘液癌(3 6.4%)や癌の脱分化(低分化化) (25.5%) がみられた.これらのことから,癌の発育進展の観点からは,SSA/Pに由来する大腸癌は,粘膜内では中分化型と超高分化型の両者の性格が共存し,SM 浸潤に伴い急激に脱分化し,粘液癌に移行する傾向があることが推定された.また,粘膜内癌部,SM浸潤部ともに70% 以上で,上記7つの組織所見の2つ以上が認められた.粘液形質発現では,癌に併存するSSA/P では,MUC2 (100%), MUC5AC (100%), MUC6 (83.3%) が高発現していたが,癌化病巣でもそれらの粘液形質プロファイルは保持されており,粘膜内癌部,SM浸潤部ともにMUC2はほぼ全例(90.9% ~ 97.6%) に発現し,MUC5AC も70% 以上,MUC6も50% 前後以上で発現がみられた.これらSSA/P 癌化例の粘液形質プロファイルは粘液癌進行大腸癌のそれと類似しており,SSA/Pに由来する癌は粘液癌進行大腸癌へと進展することが推定された.本研究結果から得られたSSA/P 由来癌に特徴的な組織所見と粘液形質発現の観点から,由来不明な粘膜病変脱落pTl (SM) 癌,進行癌,そしてpTl(SM)純粋癌の解析を行うことが今後の課題であり,その結果によっては大腸癌に占めるSSA/P由来癌の割合は,本研究結果の5%以上を更に上回る可能性も想定され,大腸癌の組織発生におけるSNPの役割もより明確になるものと考えられた. 続きを見る