close
1.

論文(リポジトリ)

論文(リポジトリ)
阿部, 学
出版情報: 新潟医学会雑誌 — 新潟医学会雑誌.  115  pp.464-475,  2001-09.  新潟医学会
本文リンク: http://hdl.handle.net/10191/48383
概要: NMDA receptors are critical for synaptic plasticity and neuronal development. They are complexes consisting of the GluRζ 1 (NR 1) subunits and one or more GluRε (ε 1-4 or NR 2 A-D) subunits. Although their synaptic localization is physiologically important in neural activities, the mechanism underlying synaptic targeting, subcellular localization, and cell surface expression remains largely unknown. To understand the synaptic localization of the NMDA receptor in cerebellum, I generated mutant mice lacking both GluRε1and ε3subunits, and made immunohistochemical and biochemical analysis in the cerebellum. There was little immunoreactivity for the GluR g 1 subunit in the granular layer of GluRε 1/ε3 mutant cerebellum, while the GluRζ1, ε1, and ε3 subunits were found to be localized at the cerebellar glomerulus in wildtype mouse. The amount of GluRζ1 protein in the GluRε1/ε3 mutant cerebellum was greatly reduced and hardly enriched in PSD fraction. These results indicate that the GluR e subunits serve as determinants of synaptic localization and protein stabilization of the GluRζ1 subunit in vivo. 続きを見る
2.

論文(リポジトリ)

論文(リポジトリ)
丸山, 智宏 ; 若井, 俊文 ; 金子, 和弘 ; 大橋, 優智 ; 島田, 能史 ; 白井, 良夫 ; 畠山, 勝義
出版情報: 新潟医学会雑誌 — 新潟医学会雑誌.  122  pp.453-457,  2008-08.  新潟医学会
本文リンク: http://hdl.handle.net/10191/27973
概要: 症例は45歳男性. 健診の腹部エコーで左上腹部腫瘤を指摘され, 近医を受診し, 膵尾部腫瘍の診断で当科紹介入院となった. CT, MRI検査で膵solid-pseudopapillary tumor(以下, SPT)の診断で, 脾合併膵体尾 部切除術を施行した. 腫瘍割面は自色調の充実性部分と嚢胞性部分を認め, 嚢胞性部分には出血壊死を認めた. 組織学的には充実性部分と血管を軸とした偽乳頭構造で構成されており, SPTに合致する所見であった. 周囲脂肪組織への浸潤を認め, 組織学的にはmalignant potentialを有する腫瘍と考えられた. 免疫組織化学検査ではCD10, CD56, NSE, Vimentin, α1-antitrypsin, Chromogranin Aが陽性であり, 多方向に分化を示す腫瘍と考えられた. 膵SPTは若年女性に好発することが知られているが, 近年男性例の報告も散見される. 膵嚢胞性腫瘍の鑑別診断の際には本疾患は男性にも発症しうることを念頭に置くべきである. 本疾患は術後再発や原病死がまれなことから低悪性度腫瘍の位置づげであり, 治療の原則は外科切除である. 続きを見る
3.

論文(リポジトリ)

論文(リポジトリ)
池田, 順行 ; 星名, 秀行 ; 斎藤, 正直 ; 飯田, 明彦 ; 高木, 律男 ; 林, 孝文 ; 宇都宮, 宏子 ; 朔, 敬
出版情報: 新潟歯学会雑誌 — 新潟歯学会雑誌.  36  pp.49-53,  2006-06.  新潟歯学会
本文リンク: http://hdl.handle.net/10191/23084
概要: We report a case of granular cell tumor in the right side of the tongue. A 37-year-old man was referred to our clinic co mplaining of oppressive pain with a mass in the right side of the tongue. He found the mass three months ago. At first visit, there was a mass lesion 10x10mm in diameter with a rough surface.On ultrasonogram, the lesion with unclear borders invaded the intrinsic muscles. It was excised with a 10mm safety margin from the clinical border as is done with malignant tumors. Histopathologically, it consisted of the uniform cells which had many eosinophilic granules in their cytoplasm. In immunohistochemistry, the granules of the cytoplasm showed immunoreaction for S-100 protein, neuron-specific-enolase and cathepsinD and the margin of the cytoplasm showed immunoreaction for vimentin. Postoperatively, there has been no evidence of recurrence. The granular cell tumor is classified as a soft tissue benign tumor, however, it is very difficult to diagnose correctly from clinical appearance alone. We also compared our case with 97 other granular cell tumors that have been reported in Japan, clinico-pathologically.<br />今回われわれは、右側舌縁部に生じた顆粒細胞腫の1例を経験した。患者は37歳男性で、3ヵ月前に右側舌縁の腫瘤に気づき、接触痛が出現した。初診時、右側舌縁に表面粗造な10×10mmの腫瘤を認め、超音波検査で腫瘤は境界が不明瞭で深部は筋層に達していた。舌腫瘍の臨床診断のもと安全域を10mm設けた切除を行った。病理組織学的には、好酸性顆粒をもつ細胞の充実性増殖が認められ、被膜構造は明かではなかった。免疫組織化学的に、腫瘍細胞の細胞質内顆粒がS-100蛋白質、神経特異エノラーゼ、カテプシンD陽性を示し、細胞質辺縁部がビメンチン陽性であったことから、顆粒細胞腫と診断された。術後,再発はなく経過は良好である。顆粒細胞腫は身体各部の軟組織に発生する比較的まれな良性腫瘍であるが、その鑑別診断には注意を要する。今回、われわれは、本邦での顆粒細胞腫の報告97例を検索したので、臨床病理学的に考察をつけ加えた。 続きを見る
4.

論文(リポジトリ)

論文(リポジトリ)
大島, 勇人
出版情報: 新潟歯学会雑誌 — 新潟歯学会雑誌.  34  pp.1-13,  2004-12.  新潟歯学会
本文リンク: http://hdl.handle.net/10191/23325
概要: Regeneration-the creation of a new tissue after the original one has been lost-is the fundamental biological capability in an organism. Numerous organs are considered to contain stem cells referred to as adult stem cells, even in the adult. Adult stem cells can give rise to a limited set of adult tissue types. In the field of clinical dentistry, it is well-known that the dentin-pulp complex is capable of repair after tooth injuries such as tooth replantation/transplantation or restorative procedures including cavity preparation. This phenomenon may indicate that dental pulp stem cells exist in the pulp tissue of the matured tooth. However, the exact origin of the cells responsible for secretion of reparative dentin matrix has not been clearly identified. The existence of the dental pulp stem cells in the human wisdom or deciduous teeth, which has been reported by the recent studies, would be informative for the regenerative treatment of teeth. This review focuses on the repair responses of dental pulp to tooth injury and the possible role of antigen-presenting cells and heat shock proteins (HSPs) in the reparative processes. Moreover, attention is focused on adult stem cells in the pulp tissue. HSPs are expressed in normal various cells as well as under stressful conditions, although they were first discovered under the latter conditions. These proteins have been reported to possess diferent functions including molecular chaperones or a general mediator of inflammation. Our recent studies have demonstrated that the intense HSP-25-immunoreactivity is found in the differentiated odontoblasts. Tooth injuries such as cavity preparation or tooth replantation cause the degeneration of the odontoblast layer to result in the loss of HSP-25-immunoreactions in the suffered dental pulp. Numerous class Ⅱ major histocompatibility complex (MHC)-positive cells appeared temporarily along the pulp-dentin border after these injuries. Subsequently, newly differentiated odontoblasts acquire an HSP-25-immunoreactivity. These findings indicate that the time course of changes in the expression of HSP-25-immunoreactivity reflects the degeneration/regeneration process of odontoblasts and that the temporal appearance of the class ⅡMHC-positive cells at the pulp-dentin border is suggestive of their participation in odontoblast differentiation as well as in initial defense reactions during the pulpal regeneration process. Thus, it is important to recognize that a variety of cellular signaling from these components may be present in the extracellular milieu at sites of injury in the pulp tissue.<br />生物のもつ最も生命らしい現象の一つに再生がある。私たちのからだは、外傷や切断などの物理的損傷に対しての治癒能力を備えており、その傷を受けた場所に応じて修復し、元通りに再生する。この様な再生現象において、細胞が作り出されるかなめの部分には組織幹細胞が存在する。歯科領域においでも再生現象が知られており、窩洞形成や歯の再植・移植等の歯の損傷に対して、歯髄は再生能力を有している。しかしながら、歯髄組織再生に必要な組織幹細胞の存在は臨床経験から推察されているものの実験によっては実証されていないのが現状であり、再生の場が大きく失われると再生が期待できない場合が多い。 最近、ヒトの智歯や脱落乳歯から歯髄幹細胞を同定したという報告が相次ぎ、歯髄の再生医療は手の届きそうな段階まできたかの印象を受ける。本稿では、これまで私たちが明らかにした研究データを基盤に、歯の損傷後の歯髄修復過程における抗原提示細胞とストレスタンパク質の役割について概説し、歯髄における組織幹細胞の存在と役割についても言及する。ストレスタンパク質(熱ショックタンパク質)heat shock protein(HSP)とは、生物が高温などのストレスにさらされた時に一時的に合成が誘発されるタンパク質で、ストレスによる損傷からの自身の防御と修復に関与するが、炎症反応を活性化することも知られている。この様なストレスタンパク質のうち低分子量のHSP-25が象牙芽細胞に高濃度に存在している。窩洞形成・歯の再植後の歯髄修復過程においても、再生象牙芽細胞がHSP-25発現を示すことが明らかになっており、歯髄間葉細胞の象牙芽細胞への最終分化にストレスタンパク質が重要な役割を果たすとともに、変性した象牙芽細胞から漏出したストレスタンパク質が免疫反応に影響を与えていることが推測された。一方、この様な歯髄修復過程において、歯髄・象牙質界面にクラスⅡ主要組織適合複合体(major histocompatibility complex:MHC)分子をもつ抗原提示細胞が一過性に出現することも明らかになっている。ストレスタンパク質と抗原提示細胞の相互作用が歯髄侵襲後の迅速な象牙芽細胞分化に一役を担っているのかもしれない。歯髄の再生過程は、上皮組織が存在しない環境下で、象牙質を含む細胞外基質、免疫担当細胞の遊走、象牙芽細胞の変性という3つの側面から現象を捉える必要がある。 続きを見る
5.

論文(リポジトリ)

論文(リポジトリ)
内ヶ島, 基政 ; Uchigashima, Motokazu
出版情報: 新潟医学会雑誌.  136  pp.75-80,  2022-03.  新潟医学会
本文リンク: http://hdl.handle.net/10191/0002000806
概要: 私達の運動や知覚,記憶,学習といった脳機能は,1,000億個のニューロンが作り出すネットワークのつなぎ目にできる1,000兆個ものシナプスを介した情報伝達に基づく.シナプスにおける情報伝達は,プレシナプスが活動電位に伴って放出する神経伝達物 質を,ポストシナプスが受け取って電気的あるいは生化学的なシグナルに変換することによって行われる.この一連の機能を生み出すのは,プレシナプス側のアクティブゾーンと呼ばれる神経伝達物質の放出に不可欠な高次構造体と,ポストシナプス側のシナプス後膜肥厚と呼ばれる受容体タンパク質とそれを支える足場タンパク質の凝集体である.この両者は,シナプス間隙のシナプス接着分子を介して互いに連結することで,巨大な細胞間タンパク質複合体を形成する.重要なことに,シナプスタンパク質の構成は,個々のシナプスに応じて異なるため,脳における複雑な情報処理の頑健性に必要なシナプス機能の多様性を生み出す.しかし,その全容は明らかになっていない.シナプスにおけるタンパク質構成の多様性を理解するためには,脳組織におけるシナプス構成タンパク質の可視化が必要不可欠である.組織におけるタンパク質の可視化法として,免疫組織化学法が一般的である.しかし,免疫組織化学で用いられる抗体は,巨大分子であるが故,高密度のタンパク質複合体であるシナプスの内部にアクセスできない.このため,抗体をシナプスヘ浸透させるための様々な工夫がこれまでになされてきた.最近,筆者らは,免疫組織化学的手法の1つである樹脂包埋組織を用いた免疫電子顕微鏡法の最適化と高品質抗体ライブラリーの開発によって,神経化学的特性の異なるシナプスで発現するタンパク質を高い空間分解能でハイスループットかつ定量的に検出できる方法を確立した.この方法を用いることで,機能的な重要性にも関わらず分子構成が未知であった線条体ドーパミンシナプスを構成するタンパク質の同定に世界で初めて成功した.本稿は,免疫組織化学を用いて脳組織におけるシナプスタンパク質を検出するための方法を要約し,筆者らが確立した脳組織にてシナプスタンパク質をハイスループットに検出するための手法について紹介する. 続きを見る
6.

論文(リポジトリ)

論文(リポジトリ)
オリガ, ラズビナ ; 味岡, 洋一
出版情報: 新潟医学会雑誌 — 新潟医学会雑誌.  128  pp.289-300,  2014-07.  新潟医学会
本文リンク: http://hdl.handle.net/10191/43775
概要: Pentraxinは免疫反応に重要な役割を果たす5量体の蛋白で, pentraxin 3(PTX3)やC-reactive protein(CRP)はpentraxin superfamilyに属する. PTX3は炎症性刺激に曝されるとマク ロファージ, 好中球, 血管内皮細胞など様々な細胞から産生され, 好中球ではPTX3は細胞質内の顆粒に局在する. 好中球の顆粒は1次顆粒, 2次顆粒, 3次顆粒の3種に分けられ, PTX3は2次顆粒(特殊顆粒)に存在すると考えられてきた. しかし, 他の顆粒における局在については不明であった. 本研究では成熟好中球と好中球へ分化誘導した前骨髄球性細胞株HL-60細胞を検討し, すべての顆粒にPTX3が存在することを確認した. IL-8の刺激によって好中球はneutrophil extracellular traps(NETs)と呼ばれる不規則な網状形態を示したが, 3種の顆粒はこのNETsの表面に接着し, PTX3はこれら顆粒と共局在した. 以上の成績からPTX3は好中球の細胞質内および細胞外の顆粒構成抗菌性蛋白と共存し, 生体防御上, 重要な役割を果たしていることが推測された. 続きを見る
7.

論文(リポジトリ)

論文(リポジトリ)
須藤, 翔 ; 廣瀬, 雄巳 ; 石川, 博補 ; 堅田, 朋大 ; 斉藤, 敬太 ; 滝沢, 一泰 ; 高野, 可赴 ; 坂田, 純 ; 小林, 隆 ; 皆川, 昌広 ; 若井, 俊文
出版情報: 新潟医学会雑誌 — 新潟医学会雑誌.  128  pp.269-275,  2014-06.  新潟医学会
本文リンク: http://hdl.handle.net/10191/43748
概要: 【目的】大腸癌肝転移と肝内胆管癌は両者ともに腺癌であり, 画像検査や腫瘍マーカー等も類似した所見を示すことが多い. 今回我々は, 術前に肝内胆管癌との鑑別が困難であり, 切除標本の免疫組織化学により診断可能となった胆管浸潤を伴う大腸癌肝転移 の2例を経験したので報告する. 【対象・方法】対象となった2例はいずれも過去に大腸癌に対する根治手術を施行されていた. 腹部CT検査で胆管浸潤を伴う肝腫瘤を指摘され, 術前に大腸癌肝転移と肝内胆管癌との鑑別は困難であった. 切除標本の免疫組織化学により, 両者の鑑別診断を行った. 【結果】「症例1」: 71歳, 男性. 直腸癌Stage Iに対する手術施行後4年7か月の腹部CT検査で肝右葉に腫瘤を指摘された. 肝内胆管後区域枝および尾状葉枝に拡張を認め, 胆管浸潤が疑われた. 肝内胆管後区域枝および尾状葉枝に腫瘍栓を認め, 肝右葉切除・尾状葉切除・肝外胆管切除が施行された. 「症例2」: 75歳, 女性. 上行結腸癌Stage IIに対する手術後2年5か月の腹部CT検査で肝後区域に腫瘤を指摘された. 大腸癌肝転移を疑われ, 全身化学療法を施行されたが反応性は明らかでなく, 腫瘤の胆管浸潤も認められるようになったため, 肝右葉切除・肝外胆管切除が施行された. いずれの症例も, 腫瘍細胞はCytokeratin(CK)7陰性, CK20陽性を示し, 組織学的に大腸癌肝転移と診断された. 【考察】胆管浸潤は肝内胆管癌に特徴的な画像所見とされている. 今回経験した大腸癌肝転移の2例はいずれも胆管浸潤所見が認められ, 肝内胆管癌との鑑別は画像上困難であった. 両者の鑑別診断に際しては大腸癌既往に関する情報が重要であるが, 大腸癌原発巣の切除から時間が経過した異時性再発例や化学療法への反応性が乏しい場合, 術前診断は容易ではない. 大腸癌肝転移と肝内胆管癌の病理診断において, 免疫組織化学の有用性が報告されている. 大腸上皮マーカーであるCK20と胆管上皮マーカーであるCK7の組み合わせにより正確な組織診断が可能となる. 2例ともCK7陰性かつCK20陽性であり, 大腸癌肝転移と診断する強い根拠となった. 【結論】肝内胆管癌との鑑別が困難であった胆管浸潤を伴う大腸癌肝転移の2切除例を経験した. 両者の鑑別診断にはCK7, CK20に対する免疫組織化学が有用である. 免疫組織化学による正確な鑑別診断により, 適切な薬物療法の選択が可能となる. 続きを見る
8.

論文(リポジトリ)

論文(リポジトリ)
木戸, 知紀 ; 若井, 俊文
出版情報: 新潟医学会雑誌 — 新潟医学会雑誌.  128  pp.167-176,  2014-04.  新潟医学会
本文リンク: http://hdl.handle.net/10191/43702
概要: 【緒言】神経侵襲は大腸癌根治切除後の予後不良因子の一つとされている. 過去の報告では, 神経侵襲はHE染色で診断されていることが多い. しかし, 神経侵襲の診断においては, 癌の間質反応によって誘導された線維芽細胞と神経組織を鑑別することが 難しいことから, 神経侵襲の診断を行うことが困難な場合もある. よって, 免疫組織化学によって神経組織を同定し, それをもとに神経侵襲の診断を行う方法が考案された. しかし, 免疫組織化学によって診断される神経侵襲の臨床的意義は明らかにされていない. 本研究の目的は, 大腸癌において免疫組織化学によって診断される神経侵襲の臨床的意義を明らかにすることである. 【方法】1999年1月から2006年12月に当科でR0手術が施行されたpT2以深Stage I-III大腸癌197例を対象とした. 神経組織の免疫組織化学には, シュワン細胞の細胞質および核に含まれるS-100蛋白に対する抗体である抗S-100ポリクローナル抗体を使用した. 神経侵襲の定義は, 大腸癌取扱い規約第8版に準じた. そして, HE染色で診断された神経侵襲をHENI, S-100染色で診断された神経侵襲をS-100NIとした. 神経侵襲の有無と臨床病理学的因子との関連についてMann-Whitney U検定またはFisherの直接確率法を用いて解析した. 生存時間解析は, 全生存率と無再発生存率をKaplan-Meier法で算出し, log-rank検定を用いて生存曲線の比較を行った. さらに, log-rank検定で有意であった臨床病理学的因子と術後成績との関連についてCoxの比例ハザードモデルを用いて多変量解析を行った. 【結果】神経侵襲の頻度は, 対象197例中HENIが63例(32.0%), S-100NIが123例(62.4%)であった(P<0.001). S-100NIは, 腫瘍径, 深達度, 組織型, リンパ管侵襲, 静脈侵襲, そしてリンパ節転移との間に有意な関連を認めた. 全生存率の多変量解析では, S-100NIのみが独立した予後不良因子であった. また, 無再発生存率の多変量解析では, 静脈侵襲およびS-100NIが独立した予後不良因子であった. 【結論】大腸癌において免疫組織化学によって診断される神経侵襲は, 大腸癌根治切除後の独立した予後不良因子である. 続きを見る
9.

論文(リポジトリ)

論文(リポジトリ)
野澤, 孝徳
出版情報: 新潟医学会雑誌 — 新潟医学会雑誌.  132  pp.60-66,  2018-02.  新潟医学会
本文リンク: http://hdl.handle.net/10191/50472
概要: Glioblastoma (膠芽腫)は成人原発悪性腫瘍で最も多い腫瘍であり,手術,放射線治療,化学療法を組み合わせた治療を行っても,その予後は依然として不良である. Glioblastomaは明らかな前駆病変なく,新規に急速な進行を示す原発 性glioblastomaと先行する低悪性度星細胞腫から緩徐に進行し,悪性転化して発生する二次性glioblastomaに分けられる. Isocitrate dehydrogenase (IDH;イソクエン酸脱水素酵素)が両者を特徴づける重要な遺伝子変異であることが分かっており,原発性glioblastomaではIDH1/2の変異は極めてまれであり,二次性glioblastomaでは高頻度に認められる. Epidermal growth factor receptor (EGFR;上皮成長因子受容体)遺伝子増幅およびその変異型であるEpidermal growth factor receptor variant III (EGFRv III)はglioblastoma, IDH wild-typeに認められる代表的な遺伝子変異である. EGFRv IIIは腫瘍特異的な細胞膜抗原であり,リガンド非依存的に常時活性化し,細胞内シグナリングを増強し,血管増生と腫瘍増生を促進させることが知られている. EGFRv IIIはその腫瘍特異性から,これまで治療ターゲットとして注目を集めてきたが免疫組織化学的な検索が不十分であった.本研究では, Glioblastoma, IDH wild-typeと診断された48患者の手術標本を用いて,EGFRv IIIに特異的な抗体を用いて,免疫組織化学的検索を行い,細胞形態, EGFRv III陽性腫瘍細胞の分布を評価した.さらにはEGFRv III発現の予後への影響を評価した.EGFRv III陽性は再発1症例を含む12標本, 11患者で認められた.免疫染色では複数の突起を有するグリオーマ細胞においてEGFRv IIIおよびglial fibrillary acidic protein(GFAP)の発現が認められた. EGFRv III陽性細胞は腫瘍の中心部に存在し,辺縁部には存在しなかった.再発症例が1例あり,腫瘍に対する治療効果を確認することができた.単変量解析を行った結果,EGFRv III発現の有無は生存期間に関与しないことが示された.本研究ではEGFRv III陽性細胞は星細胞系分化を示し, GFAP陽性の腫瘍細胞が認められる腫瘍の中心部に存在し,浸潤領域には存在しないことが示された.この知見は, EGFRv IIIは腫瘍増殖には関与するが,浸潤するglioma細胞はEGFRv III発現を失っていることを示唆している. 続きを見る
10.

学位論文(リポジトリ)

学位
野澤, 孝徳
出版情報: 2018-03-23.  新潟大学
本文リンク: http://hdl.handle.net/10191/50438
概要: Glioblastoma(膠芽腫)は成人原発悪性腫瘍で最も多い腫瘍であり、手術、放射線治療、化学療法を組み合わせた治療を行っても、その予後は依然として不良である。Glioblastomaは明らかな前駆病変なく、新規に急速な進行を示す原発性g lioblastomaと先行する低悪性度星細胞腫から緩徐に進行し、悪性転化して発生する二次性glioblastomaに分けられる。isocitrate dehydrogenase (IDH;イソクエン酸脱水素酵素)が両者を特徴づける重要な遺伝子変異であることが分かっており、原発性glioblastomaではIDH1/2の変異は極めてまれであり、二次性glioblastomaでは高頻度に認められる。Epidermal growth factor receptor (EGFR; 上皮成長因子受容体)遺伝子増幅およびその変異型であるEpidermal growth factor receptor variant III (EGFRvIII)はglioblastoma, IDH wild-typeに認められる代表的な遺伝子変異である。EGFRvIIIは腫瘍特異的な細胞膜抗原であり、リガンド非依存的に常時活性化し、細胞内シグナリングを増強し、血管増生と腫瘍増生を促進させることが知られている。EGFRvIIIはその腫瘍特異性から、これまで治療ターゲットとして注目を集めてきたが免疫組織化学的な検索が不十分であった。本研究では、Glioblastoma, IDH wild-typeと診断された48患者の手術標本を用いて、EGFRvIIIに特異的な抗体を用いて、免疫組織化学的検索を行い、細胞形態、EGFRvIII陽性腫瘍細胞の分布を評価した。さらにはEGFRvIII発現の予後への影響を評価した。EGFRvIII陽性は再発1症例を含む12標本、11患者で認められた。免疫染色では複数の突起を有するグリオーマ細胞においてEGFRvIIIおよびglial fibrillary acidic protein (GFAP)の発現が認められた。EGFRvIII陽性細胞は腫瘍の中心部に存在し、辺縁部には存在しなかった。再発症例が1例あり、腫瘍に対する治療効果を確認することができた。単変量解析を行った結果、EGFRvIII発現の有無は生存期間に関与しないことが示された。本研究ではEGFRvIII陽性細胞は星細胞系分化を示し、GFAP陽性の腫瘍細胞が認められる腫瘍の中心部に存在し、浸潤領域には存在しないことが示された。この知見は、EGFRvIIIは腫瘍増殖には関与するが、浸潤するglioma細胞はEGFRvIII発現を失っていることを示唆している。<br />学位の種類: 博士(医学). 報告番号: 甲第4394号. 学位記番号: 新大院博(医)甲第793号. 学位授与年月日: 平成30年3月23日<br />新大院博(医)甲第793号 続きを見る