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1.

学位論文(リポジトリ)

学位
佐藤, 洋
出版情報: pp.300-308,  2019-03-15.  新潟大学
本文リンク: http://hdl.handle.net/10191/51279
概要: 【緒言】大腸癌化学療法の進歩は著しく,切除不能・再発大腸癌の生存期間は 2年を超えている.大腸癌領域では,KRAS遺伝子測定が抗epidermal growth factor reseptor (EGFR)抗体薬の治療効果予測囚子としてその 地位を確立している .しかし,KRAS遺伝子野生型であっても奏効率の上乗せは 10-30%にすぎず,KRAS遺伝子を介さない別経路の存在が注目されている .NAD (P) H: quinone oxidoreductase 1 (NQOl) は,抗癌剤や放射線照射耐性に関与する抗酸化ストレス蛋白として知られているが,大腸癌におけるKRAS遺伝子変異,予後との関連は明らかになっていない.本研究の目的は,KRAS遺伝子野生型および変異型切除不能・再発大腸癌における NQOl発現が予後に関与するかを検証することである . 【方法】2007年3月から2013年1月までに当科でKRAS遺伝子野生型および変異型切除不能・再発大腸癌に対して治療を行った51例を対象とした.対象症例の大腸癌原発巣標本において,NQOlモノ クローナル抗体を用いた免疫組織化学検査を行い,NQOlの発現を解析した.NQOlの発現を陽性および陰性の2群に分類し,臨床病理学的特徴および予後を統計学的に検討した. 【結果】男性29例,女性22例で年齢中央値は62歳(範囲 :17-79歳), KRAS遺伝子野生型は 33例 (64.7%),変異型は 18例 (35.3%)であった.NQOl発現陽性群が 40例 (78.4%),陰性群が 11例 (21.6%)であった.NQOl発現陽性群,陰性群の間で臨床病理学的囚子に有意差はみられなかった.生存期間の検討では,NQOl発現陽性群と陰性群,KRAS追伝子野生型と変異型の間で有意差は認められなかった (P=0.453, P=0.089). しかし,NQOl発現解析,KRAS遺伝子変異検査の両者を組み合わせることによって,生存期間が有意に層別化された(P = 0.049).KRAS野生型かつ NQOl発現陰性群の生存期間中央値 (MST) は46か月であり,KRAS変異型かつNQOl発現陽性群の 21か月 (P=0.042), KRAS変異型かつNQOl発現陰性群の15か月(P= 0.007)と比較して有意に予後良好であった.KRAS遺伝子野生型に限ると,NQOl発現陰性群のMSTは46か月,NQOl発現陽性群の MSTは26か月であり,NQOl発現陰性群の予後が良好な傾向を示した (P= 0.074). 【結論】NQOl発現解析とKRAS遺伝子変異検査の両者を行うことにより,切除不能 ・再発大腸癌の予後が有意に層別化される.<br />学位の種類: 博士(医学). 報告番号: 乙第2233号. 学位記番号: 新大博(医)乙第1805号. 学位授与年月日: 平成31年3月15日<br />新潟医学会雑誌. 2015, 129(6), 300-308.<br />新大博(医)乙第1805号 続きを見る
2.

論文(リポジトリ)

論文(リポジトリ)
佐藤, 洋 ; 若井, 俊文
出版情報: 新潟医学会雑誌 — 新潟医学会雑誌.  129  pp.300-308,  2015-06.  新潟医学会
本文リンク: http://hdl.handle.net/10191/44088
概要: 【緒言】 大腸癌化学療法の進歩は著しく, 切除不能・再発大腸癌の生存期間は2年を超えている. 大腸癌領域では, KRAS遺伝子測定が抗epidermal growth factor reseptor(EGFR)抗体薬の治療効果予測因子として その地位を確立している. しかし, KRAS遺伝子野生型であっても奏効率の上乗せは10-30%にすぎず, KRAS遺伝子を介さない別経路の存在が注目されている. NAD (P) H : quinone oxidoreductase 1(NQO1)は, 抗癌剤や放射線照射耐性に関与する抗酸化ストレス蛋白として知られているが, 大腸癌におけるKRAS遺伝子変異, 予後との関連は明らかになっていない. 本研究の目的は, KRAS遺伝子野生型および変異型切除不能・再発大腸癌におけるNQO1発現が予後に関与するかを検証することである. 【方法】 2007年3月から2013年1月までに当科でKRAS遺伝子野生型および変異型切除不能・再発大腸癌に対して治療を行った51例を対象とした. 対象症例の大腸癌原発巣標本において, NQO1モノクローナル抗体を用いた免疫組織化学検査を行い, NQO1の発現を解析した. NQO1の発現を陽性および陰性の2群に分類し, 臨床病理学的特徴および予後を統計学的に検討した. 【結果】 男性29例, 女性22例で年齢中央値は62歳(範囲 : 17-79歳), KRAS遺伝子野生型は33例(64.7%), 変異型は18例(35.3%)であった. NQO1発現陽性群が40例(78.4%), 陰性群が11例(21.6%)であった. NQO1発現陽性群, 陰性群の間で臨床病理学的因子に有意差はみられなかった. 生存期間の検討では, NQO1発現陽性群と陰性群, KRAS遺伝子野生型と変異型の間で有意差は認められなかった(P=0.453, P=0.089). しかし, NQO1発現解析, KRAS遺伝子変異検査の両者を組み合わせることによって, 生存期間が有意に層別化された(P=0.049). KRAS野生型かつNQO1発現陰性群の生存期間中央値(MST)は46か月であり, KRAS変異型かつNQO1発現陽性群の21か月(P=0.042), KRAS変異型かつNQO1発現陰性群の15か月(P=0.007)と比較して有意に予後良好であった. KRAS遺伝子野生型に限ると, NQO1発現陰性群のMSTは46か月, NQO1発現陽性群のMSTは26か月であり, NQO1発現陰性群の予後が良好な傾向を示した(P=0.074). 【結論】 NQO1発現解析とKRAS遺伝子変異検査の両者を行うことにより, 切除不能・再発大腸癌の予後が有意に層別化される. 続きを見る