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論文(リポジトリ)

論文(リポジトリ)
植村, 元貴
出版情報: 新潟医学会雑誌 — 新潟医学会雑誌.  118  pp.694-701,  2004-12.  新潟医学会
本文リンク: http://hdl.handle.net/10191/3894
概要: 乳腺原発の純型粘液癌は他の乳癌に比べ予後良好な癌とされている.これまで同癌の細胞増殖能が他の乳癌に比べて低いことがその良好な予後を規定する因子とされてきたが,近年のムチンコア蛋白の研究の進歩により,MUC2ムチンコア蛋白発現も同癌の生物学的 悪性度を規定している可能性が想定されてきた.本研究では,これら2つの因子にどのような関連があるかを細胞単位で明らかにすることを目的とし,乳腺純型粘液癌におけるMUC2コア蛋白発現および増殖細胞マーカーであるKi-67蛋白発現を二重染色法を用いて検討した.外科切除乳腺原発純型粘液癌12例を対象とし,浸潤性乳管癌14例をコントロールとした.純型粘液癌では浸潤部の12/12(100%),乳管内非浸潤癌巣(CIS)部の6/6(100%)にMUC2発現がみられたのに対し,浸潤性乳管癌でのMUC2発現は1/14(7.1%)のみであった.純型粘液癌のMUC2発現細胞率は,浸潤部で53.2±21.5%(22.3~85.4%),CIS部で12.8±8.2%(O~21.7 %)であった.純型粘液癌浸潤部では,MUC2発現細胞と非発現細胞のKi-67indexはそれぞれ5.5±3.1%と9.6±5.2%であり,両者間には有意差があった.他方CIS部のKi-67indexは,MUC2発現細胞と非発現細胞とで有意差はなかった(3.6±2.7% vs 4.7±3.0%).浸潤部とCIS部との比較では,MUC2発現細胞のKi-67indexに有意差はなかったが,MUC2非発現細胞のKi-67indexは浸潤部がCIS部に比べ有意に高値であった.以上の結果より,純型乳腺粘液癌の浸潤癌部では,MUC2発現細胞は非発現細胞に比べ細胞増殖能が低い癌細胞であり,同癌は細胞増殖能の低いMUC2発現細胞をその構成細胞としていることが他の乳癌に比べ生物学的悪性度が低いことの一因となっていると推定された.しかし,同癌のMUC2発現細胞率にはバラツキがあることから,同癌の中にも生物学的悪性度に違いが生ずる可能性も示唆され,今後続型粘液癌に占めるMUC2発現細胞の割合とリンパ節転移,予後との関係についての検討が必要と考えられた.また,CIS部ではMUC2発現細胞と非発現細胞とで細胞増殖能に違いがなかったことから,MUC2発現と細胞増殖能との関係に癌の間質浸潤がどのように関わってくるかを解明することが,続型乳腺粘液痛の発育進展を明らかにする上で必要であると考察された. 続きを見る
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論文(リポジトリ)

論文(リポジトリ)
松澤, 岳晃 ; 小林, 孝 ; 畠山, 悟 ; 加川, 隆三郎 ; 橋立, 英樹
出版情報: 新潟医学会雑誌 — 新潟医学会雑誌.  126  pp.497-502,  2012-09.  新潟医学会
本文リンク: http://hdl.handle.net/10191/35357
概要: 痔瘻癌は深部痔瘻が長期間存在した場合に発生する可能性があるが, 骨盤内に存在するためその診断は困難である. 今回, 深部痔瘻をMRIにて経過観察し, その内部に痔瘻癌が発生したことを診断しえた. 患者は66歳, 男性, 約20年前に痔瘻手術 の既往がある. 血便, 排便困難, 腹部膨満感を主訴に当院を受診した. 右坐骨直腸窩膿瘍および骨盤直腸窩膿瘍と診断しドレナージ手術を施行した. 症状は軽快し退院したが, 退院時MRIで骨盤直腸窩膿瘍が残存したため根治手術を勧めるも本人が拒否した. 2年4ヶ月後のMRI T2強調画像で6時に原発巣, 7時方向で肛門括約筋を穿破し坐骨直腸窩に出て, 口側9時方向に瘻管・膿瘍を形成する痔瘻を認めた. また, 瘻管は原発巣から6時方向へ肛門括約筋内を上行し, 骨盤直腸窩に高信号で分葉状の顆粒集合様領域を認めた. MRI画像で顆粒集合様領域を認め痔瘻癌と診断した.生検にて粘滴産生性の痔療癌と確定診断,根治手術を施行した 続きを見る